「決断」
皆さんも朝起きてから夜寝るまでの間、毎日毎日ほんの些細なことから人生を決定づけるようなものまで数えきれないほどの意思決定=決断をしています。
ただし、J.S.Millが「自由論」の中で説いているように、他人の種々の権利を侵害しない限り、人は自由に意思決定ができます。そして、その決定に伴う責任は自ら負えば済むことです。
例えば、友人がお土産にイチゴのショートケーキを2つ買ってきて、どちらでも好きなものを選んでください。一緒に食べましょう、と言われた時に、皆さんは、イチゴの大きさや色、クリームのかかり具合など、判断材料を自ら考え、さらに残った方を友人が食べることまで気を遣いながら選択します。これが一般的な意思決定過程と言い得ます。
ところが、救急隊員の皆さんが現場で決断を強いられるときには、救急隊員としての決断の効果が、他人である傷病者に発生することになります。すなわち他人を巻き込んだ決断ということになります。しかも「即決」しなければなりません。いわゆるトリアージを迫られる場面です。
救急活動としてのトリアージは、災害や多数傷病者発生事案だけでなく、日常の救急活動においても迫られることが少なからず生じます。そのたびに救急隊員の皆さんは、その決断に悩み、苦しみ、後々まで引きずることになります。そして、ひょっとしたら傷病者側からクレームが寄せられたり、訴えられたりするのではないかと不安な気持ちになります。
5月の塾では、日常生じるトリアージ例を講壇事例にして、どのような考え、対応をすれば無用な紛争に巻き込まれないで済むのか、押さえとしてやるべきことは何かについて考えたいと思います。
※J.S.Mill
ジョン・スチュアート・ミルは、イギリスの哲学者。政治哲学者、経済思想家でもあり、政治哲学においては自由主義・リバタリアニズムのみならず社会民主主義の思潮にも多大な影響を与えた。晩年は自ら社会主義者を名乗っている。
引用:Wikipedia
6月は田邉晴山教授が特別出演
6月の予告をしておきます。6月は6月20日火曜日午後7時からの1回きりですが、特別企画として、救急振興財団東京研修所(エルスタ東京)の田邉晴山教授に特別出演して頂き、まず私との対談形式で病院前救護の過去現在未来について各々の立場から意見を述べ合い、その後、参加された塾生の皆さんとそれらをめぐって忌憚のない意見交換をして行きたいと考えています。皆さんが日頃疑問に感じている点をぶつけてみてください。
