第23回橋本塾開催にあたってのメッセージ
「組み合わせの妙」
春分の日を過ぎたばかりですが首都圏の桜は満開を迎えました。一昔前まで入学式の頃に桜が満開を迎えていたのに。入学試験合格の電報に「サクラサク」が用いられていた由来が「今の人」には理解できなくなってしまいました。
毎年この時期を迎えると、消防の世界でも惜しまれながら卒業されて行かれる方がおられます。また人事異動の時期でもあり、上司が代わったり、クルーを組んでいた仲間が入れ替わったりする時期でもあります。
これまで恵まれた職場環境に浸かっていた者にとって、それが変わってしまうことになるので憂鬱になる方もおられることでしょう。逆に、どうも馬の合わない組み合わせと感じていた人にとっては期待の持てる時期でもあります。別れと出会いの季節です。
9本の柱のバランスが崩れた時、事故が起きやすい
ところで、救急活動記録票をもとに事後検証をしていると、気にかかることがあります。それは救急隊の構成です。
救急隊員には、消防吏員の階級、処置範囲に関する資格、そして実力と、3つの柱を一人一人が持っています。そして通常3人のクルーで活動しているので合計9本の柱が存在することになります。そのバランスが崩れた時に事故が起きやすいというのが長年事後検証や相談案件に接していると感じるところです。
例えば、救急隊長が、救急車に乗る機会が多くなく応急処置に不慣れなことから、傷病者との応対を経験の乏しい若い救急救命士に任せきりになっているような場合など。こうした組み合わせの救急隊が、感染症拡大にともなう活動時間の延伸の結果存在することが増えています。
また、大学で救急救命士課程を修了し国家試験に受かって救急救命士の資格を持って消防官になられる人が多くなり、そういう方はスムーズに昇任される傾向もあり、20代後半で隊長を拝命し、自分より年配の救急隊員とクルーを組むことも多くみられるようになってきました。
隊長がクルーの最年長者で救急救命士資格者、そして最も若い隊員が機関員というような構成を標準にして色々なことが想定され決めごとが形成されています。実際にもそういうクルーであったのがこれまでの姿でした。
しかし、諸要因から必ずしもそうなっていないのが現状です。私の場合には、いわゆる三次検証に当たるところを務めることが多いのですが、そこに上がってくる事案のうち、救急隊の活動が法的にも問題にされる事案の多くは、救急隊のクルーの構成に課題が認められるケースが経験上かなりありました。したがって、通常、事後検証をする際には、救急隊のクルーの構成を意識して実施するように心がけています。
4月の講座内容について
異動の時期を迎え、新たなクルー構成になった場合に、どのようなことに注意しておけばよいのかを、紛争予防法学の視点から、4月の塾では皆さんとご一緒に考えたいと思います。是非ご参加ください。
2月と3月は、全国の約60名の救急隊員の皆さんと救急活動記録票の書き方を勉強しました。救急活動記録票に的確に記載しておくことは、紛争が起きた時に鎧にも武器にもなると同時に、記載方法について考えることは的確な活動が実施されていたのかの点検にもなることを具体的な事案を通して参加された塾生とともに学びました。
