法律家 橋本雄太郎より塾開催にあたってのメッセージ
第10回テーマ:『困った傷病者』と『市民広報』について
「EMERGENCY CALL~緊急通信指令室~」
「EMERGENCY CALL ~緊急通信指令室~」という2022年1月13日にNHKテレビで放送された番組を見られた方も多いと思います。横浜市消防局の全面協力で制作された番組ですが、どのような感想をお持ちでしょうか?一般市民の皆さん、実際に119番通報の機会のあった市民の皆さん、比較的規模の小さな消防本部に所属されている方、規模の大きな消防本部の所属されている方等、立場によって様々な感想を持たれたことと思います。
私は、かつて横浜の救急業務委員を務めさせて頂き通信指令業務も含め、横浜の救急活動の実情を知る機会を得ていました。就前研修も時間をかけしっかりやられている横浜市消防局の通信指令センターは、ソフトの面ではわが国で最も優れた機関の一つではないかと感じ、公的な機会を含めて皆さんに紹介してきました。
ただ、今回の放映を見た感想は、正直期待外れでした。指令室員教育が注目される前からその必要性を主張し、消防庁長官がSさんの時には消防大学校のコースとして通信指令員研修を新設すべきことを提言し検討して頂いたこともあり、各地で始められている通信指令員研修に講師として伺っている立場から厳しい目で評価すると、放映された指令員の対応は、必ずしも適切ではないと感じられるものが少なからず見受けられたからです。
何人かの救急救命士資格者で各地の通信指令室勤務されているシニアの消防吏員に方々に伺った感想も、少なからず私と同様の感想を持っておられる方がおられました。
大きな収穫は「とんでも」通報者の対応に苦慮する実態が伝えられたこと
ただ今回の放映で良かったことは、一般市民の皆さんに「とんでも」通報者がいて、応対に苦慮している実態が示されたことではないかと感じています。これまで市民広報が苦手で、自分たちが苦労していることを上手に伝えられないでいた消防にとって、全国放送で、NHK自身によって周到な番組予告がなされた中での放送だったので、一般市民の皆さんに消防の日常活動の一コマに過ぎないにしても、本来業務に差し支えが及ぶような「とんでも」通報者が少なからずいて対応に苦労されている現状が伝えられたことは大きな収穫ではなかったかと思います。
2月開催の塾では「困った傷病者」例を出し合い対応するやり方を考える
そこで、実は救急現場には「とんでも」傷病者がいて、現場救急隊員が日々苦労されていることも市民につたえるべきではないかと考えています。その第一歩として、「『困った傷病者』と『市民広報』」というテーマで、2月の「橋本塾」で考えてみたいと思います。今回は、まず参加される塾生の方々から、日常活動において体験された「困った傷病者」例を紹介して頂き、無用な紛争を防ぎながら対応するやり方を皆さんと考えるとともに、そうした存在の方の存在を一般市民に知って頂き理解を求めることで、少しでもそうした傷病者を減らすための方策としての一つとしての市民広報について考えてみたいと思います。
日頃困っている救急隊員の皆さん、是非「橋本塾」に参加して、少しでもこうした傷病者を減らすように自らチャレンジし、迅速的確な救急活動を目指しましょう。オミクロン株による感染拡大の影響で救急困難事案が増加し、日常の救急活動が大変な状況の時期ではありますが、ここは歯を食いしばって、自律性の確立を求めて日々勉強にも励みましょう。
《2月の詳細と申込みについて》
プレホス寺子屋「橋本塾」
- 本塾の意味、意義、役割 -
日常の救急現場活動において感じる疑問や不安を、法的視点を踏まえた上で、塾生の皆さんと忌憚のない意見交換をしながら「考える」ことで、疑問や不安をできる限り解消し、的確な対応を実施することで、安心安全な職場環境を自律的に確立していくことが可能になります。この安心安全な活動を確保することが、「塾」の目的です。
「塾」は、教えるものと学ぶ者が互いに切磋琢磨し、議論し合うことで理解を深める場所です。新たな気づき、発見もあります。この目的から、「新しい生活様式」にそった「WEB方式」で、居ながらにして学べる、身近な存在として、場を提供することにしました。
救急活動の紛争予防オンラインマガジン
「考える」救急隊員になってほしい
「考える」救急隊員になって欲しい。そんな思いの詰まった法律家、橋本雄太郎のオンラインサイト「EMSマガジン」。救急活動をめぐる法律問題の第一人者だからこそ、救急隊員にとって不可欠な、直面する法律問題を具体的に指南できる。『EMSマガジンを読んでいれば・・・』という後悔をなくして欲しい。EMSマガジンは、救急現場で紛争に巻き込まれたときに、「勝つ」ためにしておくこと。そもそも紛争を起こさせないために、どうすればよいのか。救急活動の不安解消させる「考える救急隊員」を育てるマガジンです。
※EMSマガジンは2021年4月にプレホス寺子屋『橋本塾』オンラインに統合しました。
塾頭プロフィール

法律家
橋本雄太郎
[ハシモト ユウタロウ]
~コメント~
病院前救護及び救急医療をめぐる法律問題、災害時の法律問題を主たる研究対象にしています。杏林大学教授として刑事法・医事法を講義してきましたが、約25年前から、消防大学校、救急振興財団東京研修所・九州研修所、各消防本部消防学校等で講義を行い、各地のメデカルコントロール協議会や消防本部の主催する研修会、関連学会等で講演等を頻繁に実施しています。国や自治体の設置する委員会委員も数多く拝命してきました。
主著として『病院前救護をめぐる法律問題』、『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』、主編著として『救急活動の法律相談』等があります。
(学歴)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業
慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
(職歴)
杏林大学社会科学部助手、専任講師、助教授を経て教授
大学院国際協力研究科教授を兼ねる
ロンドン大学高等法律学研究所訪問研究員(1997~1998年)
現在 香川大学客員教授
(学会役員歴)
オーストラリア学会副代表理事
日本航空医療学会評議員
日本病院前救急診療医学会理事
(社会における主な活動歴)
東京消防庁消防行政特別協力賞(平成11年)
総務省消防庁救急業務あり方に関する検討会委員
東京都メディカルコントロール協議会委員
東京消防庁救急懇話会委員
横浜市救急業務委員
さいたま中央地域医療事故対策委員
山形市救急業務あり方検討会委員
茨城県北部地域医療顧問
東京都大学サッカー連盟評議会議長・東京都サッカー協会理事
単著
『病院前救護をめぐる法律問題』(東京法令出版、平成18年)
『テキスト 救急活動をめぐる法律問題』(荘道社、平成20年)
『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』(東京法令出版、平成26年)
編著
『救急活動の法律相談』(新日本法規出版、平成22年)
『刑事訴訟法入門』(八千代出版、平成23年)
DVD
『救急隊員に必要な法律基礎知識』 (新日本法規出版)
『救急活動の法律相談シリーズ 全6巻』 (新日本法規出版)
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