法律家も柔軟な判断をする

法律家 橋本雄太郎

(この記事は2018年9月発行「EMSマガジン第4号」の一部内容です)

法律家 橋本雄太郎からのメッセージ

 

「法律家も柔軟な判断をする」


 「過失」責任というものを考えてみましょう。注意すれば防げたはずなのに、ぼんやりしたためにうっかりして事故を起こしてしまった。注意「義務」を怠っていたから、不注意という行為が非難されることになります。
 
 そして、不注意に対する法的責任には、刑罰という法律効果で対応する刑事責任と、金銭賠償という法律効果で対応する民事責任(国家賠償法事案もこれに含まれる)とがあります。

 民事責任の場合の損害賠償というのは、金銭賠償ですから、交通事故の場合でお分かりのように、過失相殺という考え方が取られ、両当事者の過失の割合によって、賠償額が違ってきます。つまり、柔軟に対応できることになっています。したがって、前号メルマガで触れたように、救急活動記録票の「救急要請概要」欄の記載内容によって、過失割合が違ってくることもあり得るのです。
 
 一方、刑事責任は、有罪なら刑罰という効果が発生します。死刑は勿論のこと、懲役刑でも、一定期間服役した後に、誤判であることが判明して、再審の結果無罪が確定して、金銭賠償がなされたとしても、服役期間という時間を取り戻すことはできません。

 したがって、慎重に判断され、「疑わしきは被告人の利益に」、「無罪の推定」という考え方が刑事訴訟には貫かれているのです。そして、刑事責任は、「ある」か「ない」かで、例えば、過失犯の場合に、過失割合という考え方はありません。
 
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《関連記事》

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(2018年9月発行「EMSマガジン第4号」より)

~法律家 橋本雄太郎からのメッセージ~救急活動記録表の「救急要請概要」欄について
(2018年8月発行「EMSマガジン第3号」より)

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~コメント~
病院前救護及び救急医療をめぐる法律問題、災害時の法律問題を主たる研究対象にしています。杏林大学教授として刑事法・医事法を講義してきましたが、約25年前から、消防大学校、救急振興財団東京研修所・九州研修所、各消防本部消防学校等で講義を行い、各地のメデカルコントロール協議会や消防本部の主催する研修会、関連学会等で講演等を頻繁に実施しています。国や自治体の設置する委員会委員も数多く拝命してきました。
主著として『病院前救護をめぐる法律問題』、『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』、主編著として『救急活動の法律相談』等があります。


(学歴)

慶應義塾大学法学部法律学科卒業
慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学

(職歴)

杏林大学社会科学部助手、専任講師、助教授を経て教授
大学院国際協力研究科教授を兼ねる
ロンドン大学高等法律学研究所訪問研究員(1997~1998年) 
現在  香川大学客員教授

(学会役員歴)

オーストラリア学会副代表理事
日本航空医療学会評議員
日本病院前救急診療医学会理事

(社会における主な活動歴)

東京消防庁消防行政特別協力賞(平成11年)
総務省消防庁救急業務あり方に関する検討会委員
東京都メディカルコントロール協議会委員
東京消防庁救急懇話会委員
横浜市救急業務委員
さいたま中央地域医療事故対策委員
山形市救急業務あり方検討会委員
茨城県北部地域医療顧問
東京都大学サッカー連盟評議会議長・東京都サッカー協会理事


単著
『病院前救護をめぐる法律問題』(東京法令出版、平成18年)
『テキスト 救急活動をめぐる法律問題』(荘道社、平成20年)  
『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』(東京法令出版、平成26年)
編著
『救急活動の法律相談』(新日本法規出版、平成22年)
『刑事訴訟法入門』(八千代出版、平成23年)
DVD
『救急隊員に必要な法律基礎知識』 (新日本法規出版)
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