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(この記事は2019年9月発行「EMSマガジン第15号」の一部内容です)
法律家 橋本雄太郎~時論~
「災害時 フェリーで医療 ― 大洗港で拠点設置訓練―」
~EMSマガジン第15号より~
筆者は1年ほど前から茨城県で「県内災害時医療資源提供システム構築」研究を続けてきましたが、その一環として、8月5日午前、大洗港に停泊中の大型フェリー「さんふらわあ号」の災害時活用を企図した演習を実施しました。
県庁関係部局、茨城県医師会、水戸医療センター、大洗消防本部、商船三井フェリー等にご協力をお願いしながら進めてきたものです。
おかげさまで、報道機関のご理解も頂き、NHK首都圏ニュースでは、実施前に開催予告も含めて、大きく取り上げて頂きました。ここでは、当日も含めて、しっかり取材して頂いて的確に演習の様子をまとめて頂いた読売新聞の記事を用いて、紹介したいと思います。
この演習は、透析患者のセイフティネットとして、透析治療に必須の電力と水の備わった大型フェリーに着目して、震災時に、災害拠点病院から医療資源を運搬し、このために太陽工業に開発して頂いた透析用エアテントを甲板に設置して、臨時に設置した救護所としての甲板で、治療をしようという試みです。
(読売新聞2019年8月6日朝刊)災害時でも水と電力が安定して得られる大型フェリーに医療スタッフと機器を集結させ、医療拠点を設置する訓練が8月5日午前、大洗町の大洗港で行われた。医療資源の地域格差がある県内で、災害発生時にフェリーを活用し、スタッフや機器を融通し合うシステムを作るのが狙い。
訓練は、救命技術の普及などに取り組む認定NPO法人の茨城ACLS協会(つくば市)や杏林大学大学院の橋本雄太郎客員教授(医事法)などによる共同研究。今回は特に、県内に約8000人いる透析患者への災害時の対応を想定した。
訓練には見学者を含め約100人が参加。基幹災害拠点病院に指定されている水戸医療センター(茨城町)のスタッフが救急車に乗り込み、透析用医療機器などを⒮積み込んだ車両とともに出発、約30分で約15キロ離れた大洗港に到着した。停泊中のフェリー「さんふらわあ」の甲板に侵入し、テント製造大手の太陽工業(大阪市)が立ち上げたベッド付きの透析用エアテントなどの中に機器を設置した。さらに、大洗町消防本部の救急車が患者に見立てた人形を同所へ搬送。スタッフがテントに移動させた。
見守った橋本客員教授は「やはり水と電気が得られることが大きい。フェリーが災害時の医療に有用であることが分かった」と評価。水戸医療センターの救命救急センター長でもある茨城ACLS協会の安田貢理事長は将来的なシステム作りに向け、「(医療拠点が)あらかじめ船と決まっていれば立ち上げ時間を大幅に短縮できる。実現には課題もあるが、行政、医師会、医療機関などが話し合って一つひとつクリアしていくことが大切」と話した。
プレホス寺子屋「橋本塾」
- 本塾の意味、意義、役割 -
日常の救急現場活動において感じる疑問や不安を、法的視点を踏まえた上で、塾生の皆さんと忌憚のない意見交換をしながら「考える」ことで、疑問や不安をできる限り解消し、的確な対応を実施することで、安心安全な職場環境を自律的に確立していくことが可能になります。この安心安全な活動を確保することが、「塾」の目的です。
「塾」は、教えるものと学ぶ者が互いに切磋琢磨し、議論し合うことで理解を深める場所です。新たな気づき、発見もあります。この目的から、「新しい生活様式」にそった「WEB方式」で、居ながらにして学べる、身近な存在として、場を提供することにしました。
救急活動の紛争予防オンラインマガジン
「考える」救急隊員になってほしい
「考える」救急隊員になって欲しい。そんな思いの詰まった法律家、橋本雄太郎のオンラインサイト「EMSマガジン」。救急活動をめぐる法律問題の第一人者だからこそ、救急隊員にとって不可欠な、直面する法律問題を具体的に指南できる。『EMSマガジンを読んでいれば・・・』という後悔をなくして欲しい。EMSマガジンは、救急現場で紛争に巻き込まれたときに、「勝つ」ためにしておくこと。そもそも紛争を起こさせないために、どうすればよいのか。救急活動の不安解消させる「考える救急隊員」を育てるマガジンです。
※EMSマガジンは2021年4月にプレホス寺子屋『橋本塾』オンラインに統合しました。
プロフィール

法律家
橋本雄太郎
[ハシモト ユウタロウ]
~コメント~
病院前救護及び救急医療をめぐる法律問題、災害時の法律問題を主たる研究対象にしています。杏林大学教授として刑事法・医事法を講義してきましたが、約25年前から、消防大学校、救急振興財団東京研修所・九州研修所、各消防本部消防学校等で講義を行い、各地のメデカルコントロール協議会や消防本部の主催する研修会、関連学会等で講演等を頻繁に実施しています。国や自治体の設置する委員会委員も数多く拝命してきました。
主著として『病院前救護をめぐる法律問題』、『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』、主編著として『救急活動の法律相談』等があります。
(学歴)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業
慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
(職歴)
杏林大学社会科学部助手、専任講師、助教授を経て教授
大学院国際協力研究科教授を兼ねる
ロンドン大学高等法律学研究所訪問研究員(1997~1998年)
現在 香川大学客員教授
(学会役員歴)
オーストラリア学会副代表理事
日本航空医療学会評議員
日本病院前救急診療医学会理事
(社会における主な活動歴)
東京消防庁消防行政特別協力賞(平成11年)
総務省消防庁救急業務あり方に関する検討会委員
東京都メディカルコントロール協議会委員
東京消防庁救急懇話会委員
横浜市救急業務委員
さいたま中央地域医療事故対策委員
山形市救急業務あり方検討会委員
茨城県北部地域医療顧問
東京都大学サッカー連盟評議会議長・東京都サッカー協会理事
単著
『病院前救護をめぐる法律問題』(東京法令出版、平成18年)
『テキスト 救急活動をめぐる法律問題』(荘道社、平成20年)
『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』(東京法令出版、平成26年)
編著
『救急活動の法律相談』(新日本法規出版、平成22年)
『刑事訴訟法入門』(八千代出版、平成23年)
DVD
『救急隊員に必要な法律基礎知識』 (新日本法規出版)
『救急活動の法律相談シリーズ 全6巻』 (新日本法規出版)
