外出禁止|EMSマガジン第22号

法律家 橋本雄太郎

(この記事は2020年4月発行「EMSマガジン第22号」の一部内容です)

 COVID-19に関連して、感染拡大予防のために地域住民に外出を禁止することを強制できるのか、という議論が現在なされています。

 「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の一部改正が最近行われましたが、この点に関する改正措置は実施されませんでした。そこで、この特措法に基づく緊急事態宣言要に効果が期待できるのかを巡って議論が続いているのです。

 要は、日本国民であるならば誰もが賦与されている、本来持っているべき、人身の自由、行動の自由を、その人の意に反して制限することができますか、という議論です。何故、わが国において、国においても自治体においても慎重に考える姿勢が見られるのでしょうか。それは、以下に述べるような不幸な経験をしているからです。

 昭和21年11月3日に公布され、昭和22年5月3日から施行されている現行の日本国憲法の3つの柱の一つに「基本的人権の尊重」があることは小学校の社会の授業以来繰り返し教えられてきています。

 憲法第3章は国民の権利及び義務について規定しています。この憲法によって保障された権利を、基本的人権と呼んでいます。ここでいう「人権」とは、人が人であることにより当然に保障される生来の権利であるとされています。現行憲法上認められた権利の中でも、自由権というものが歴史的にも国民の享有する権利として最も大切な権利とされています。

 例えば、居住移転の自由、表現の自由、信仰の自由、学問の自由など。今の若い人たちにとっては、「権利」とあえて言うまでもない、当然のことと思っていることと想像します。

 今般のCOVID-19の関係で、感染症対策の最も重要なものが、外出禁止、と言われています。人と人の接触する機会が減れば、当然感染リスクは減少します。そして、外出禁止措置を実効あるものにするためには、当然国民一人一人の自律性を期待して、自主的に外出を控えることが最も必要なことですが、同時に、他律的にその機会を減らす政策をとることも重要で緊急事態宣言とそれに伴う施設の使用制限になっています。しかし、一方で、国民には行動の自由が憲法上認められており、例えば、

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プロフィール

 法律家
 橋本雄太郎
 [ハシモト ユウタロウ]

~コメント~
病院前救護及び救急医療をめぐる法律問題、災害時の法律問題を主たる研究対象にしています。杏林大学教授として刑事法・医事法を講義してきましたが、約25年前から、消防大学校、救急振興財団東京研修所・九州研修所、各消防本部消防学校等で講義を行い、各地のメデカルコントロール協議会や消防本部の主催する研修会、関連学会等で講演等を頻繁に実施しています。国や自治体の設置する委員会委員も数多く拝命してきました。
主著として『病院前救護をめぐる法律問題』、『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』、主編著として『救急活動の法律相談』等があります。


(学歴)

慶應義塾大学法学部法律学科卒業
慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学

(職歴)

杏林大学社会科学部助手、専任講師、助教授を経て教授
大学院国際協力研究科教授を兼ねる
ロンドン大学高等法律学研究所訪問研究員(1997~1998年) 
現在  香川大学客員教授

(学会役員歴)

オーストラリア学会副代表理事
日本航空医療学会評議員
日本病院前救急診療医学会理事

(社会における主な活動歴)

東京消防庁消防行政特別協力賞(平成11年)
総務省消防庁救急業務あり方に関する検討会委員
東京都メディカルコントロール協議会委員
東京消防庁救急懇話会委員
横浜市救急業務委員
さいたま中央地域医療事故対策委員
山形市救急業務あり方検討会委員
茨城県北部地域医療顧問
東京都大学サッカー連盟評議会議長・東京都サッカー協会理事


単著
『病院前救護をめぐる法律問題』(東京法令出版、平成18年)
『テキスト 救急活動をめぐる法律問題』(荘道社、平成20年)  
『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』(東京法令出版、平成26年)
編著
『救急活動の法律相談』(新日本法規出版、平成22年)
『刑事訴訟法入門』(八千代出版、平成23年)
DVD
『救急隊員に必要な法律基礎知識』 (新日本法規出版)
『救急活動の法律相談シリーズ 全6巻』 (新日本法規出版)



シリーズ紹介

時論

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