救急隊指示指導医|EMSマガジン第2号

法律家 橋本雄太郎

(この記事は2018年7月発行「EMSマガジン第2号」の一部内容です)

法律家 橋本雄太郎~時論~

 

「救急隊指示指導医」

~EMSマガジン第2号より~

 救急隊員の皆さんは、特定行為の指示要請や、不搬送時などに助言要請をする指示指導医の先生方に対して、どのような印象を持たれているのでしょうか?

 指示指導医の先生と、直接お話ししたことはありますか?顔の見える関係になっていますか?
 それとも、会ったこともない、名前も良く存じ上げない、診療科目も存じ上げない、そんな先生に要請しているのでしょうか?

 まずは、顔の見える関係を築いておくことが必須です。そういう関係を築いていないと、以下のような状況に直面した時に、場合によっては救急隊員に法的責任が生じるおそれも出てきます。

こんな事案に遭遇したことはありませんか?

 DNARを傷病者の家族から示された場合に、観察結果を踏まえて指示指導医に助言要請を行ったところ、即座に、DNARがあるなら何もしなくてもいいですよ、と言われた。

 指示指導医からプロトコールの範囲外の応急処置を実施するように言われ、プロトコールの範囲外であることを伝えたが、理解して頂けず、実施するように指示された。

 このような指示指導助言をする指示指導医が少なからず散見されるようです。

 救急隊員の皆さんは、まず活動基準・処置基準を遵守することは当然のことです。そして、指示指導医と顔の見える関係を築いておくことも必要です。その上で、改めて、指示指導医の役割・法的地位について考えておきましょう。

 ご存知のように、地域メディカルコントロール委員会は、各消防本部の諮問委員会的立場にあります。したがって、法的責任を問われる可能性はありません。ところが、指導医の救急隊員に対する個別具体的な指示・指導・助言に関して、指導医は、傷病者側から損害賠償請求を受ける可能性があり得ます。

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プロフィール

 法律家
 橋本雄太郎
 [ハシモト ユウタロウ]

~コメント~
病院前救護及び救急医療をめぐる法律問題、災害時の法律問題を主たる研究対象にしています。杏林大学教授として刑事法・医事法を講義してきましたが、約25年前から、消防大学校、救急振興財団東京研修所・九州研修所、各消防本部消防学校等で講義を行い、各地のメデカルコントロール協議会や消防本部の主催する研修会、関連学会等で講演等を頻繁に実施しています。国や自治体の設置する委員会委員も数多く拝命してきました。
主著として『病院前救護をめぐる法律問題』、『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』、主編著として『救急活動の法律相談』等があります。


(学歴)

慶應義塾大学法学部法律学科卒業
慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学

(職歴)

杏林大学社会科学部助手、専任講師、助教授を経て教授
大学院国際協力研究科教授を兼ねる
ロンドン大学高等法律学研究所訪問研究員(1997~1998年) 
現在  香川大学客員教授

(学会役員歴)

オーストラリア学会副代表理事
日本航空医療学会評議員
日本病院前救急診療医学会理事

(社会における主な活動歴)

東京消防庁消防行政特別協力賞(平成11年)
総務省消防庁救急業務あり方に関する検討会委員
東京都メディカルコントロール協議会委員
東京消防庁救急懇話会委員
横浜市救急業務委員
さいたま中央地域医療事故対策委員
山形市救急業務あり方検討会委員
茨城県北部地域医療顧問
東京都大学サッカー連盟評議会議長・東京都サッカー協会理事


単著
『病院前救護をめぐる法律問題』(東京法令出版、平成18年)
『テキスト 救急活動をめぐる法律問題』(荘道社、平成20年)  
『救急活動をめぐる喫緊の法律問題』(東京法令出版、平成26年)
編著
『救急活動の法律相談』(新日本法規出版、平成22年)
『刑事訴訟法入門』(八千代出版、平成23年)
DVD
『救急隊員に必要な法律基礎知識』 (新日本法規出版)
『救急活動の法律相談シリーズ 全6巻』 (新日本法規出版)



シリーズ紹介

時論

法律家 橋本雄太郎

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